梅の土用干しは必要?不要?


土用干しの必要性

土用干しとは、土用明け(2019年は7月20日)から8月半ばまでの間に、塩漬けしていた梅を3日間天日干しする事です。
これは、紫外線による殺菌などで保存性が高まり、長期の保存に耐える梅干しとなる訳です。

昔は3日3晩干すと良いと言われていましたが、近年ゲリラ雨などの心配が有るので夜は梅酢に戻す方が安心と思います。
梅にとって雨など水分は大敵ですからね。

干さない梅

近頃、「干さない梅干し」と言う単語を聞きます。
干さない梅は「梅干し」とは言わず、「梅漬け」です。

梅漬けは土用干しをしないか、軽く干した後に梅酢に戻してしまうものです。
これは、梅干しと比べ保存期間が短くなり1年~1年半で食した方が良いですね。
なぜ 干した梅と干さない梅に差が出るかと言えば、梅の中に余分な水分が有るため日持ちしない事が上げられます。

一昔前は、今ほど「減塩」が叫ばれず、塩分20%程度の梅は当たり前でした。
梅は保存食品と誰でも知っていたからです。

ところが近頃は12-13%(協会のWSでは12%です)位まで塩分を下げ保存出来るギリギリにしています。

10%以下のものは長期の保存に向かず、市販の梅干し表示を見ても「梅・塩」以外に「漬け原材料」として「糖類・還元水飴・リンゴ酢・アミノ酸酸味料・ステビア・野菜色素・ビタミンB」など多種多様なものが入り「要冷蔵」となり、「加工梅」の分類に入れた方が良いのでは?と思います。

本来の梅干し

干した梅は太陽の紫外線効果により表面の雑菌などが殺菌され、梅自体の水分量が蒸発し余分な水分が抜け保存に適します。

近頃、「漬けない梅」と言うものもたまに聞きますが、 上記の意味からも適度な水分量になっていないと保存が難しくなります。

その結果、長期保存する梅は干す事が必要と言う訳です。

ぷっくりしたスィーツの様な梅干しを好むのも近頃の風潮のようですが、
それは「梅干し」とは区別し早めに食すものと認識すれば梅のレパートリーが増えるかもしれませんが…。

つまり昔ながらの「梅干し」は、重石をし梅の果汁を適度に減らし太陽の紫外線に当ててこそ「保存食」として何十年も受け継がれてきたのです。
「100年前の梅干し」が蔵から出てきた、なんて話を聞きますが
これも全うに作られたものだからこそあり得る訳です。

そして、取り置いた「梅酢」も同じように太陽に干し、濃縮した上で瓶詰めすれば数年間保存できます。
この時、梅酢は常温保存して下さいね。
冷蔵庫に入れてしまったら、熟成された丸みある味には育ちませんので注意して下さいね。
もちろん、キチンと干した梅は冷蔵庫厳禁ですからね。

梅干しの中医学的効能

先人は、「梅は三毒を絶つ」と言ったりしました。

「三毒」とは、
・食材
・血液
・水

梅の持つ「殺菌作用」により、雑菌が付いた食材や水を摂取してもある程度ならば難の逃れると共に「クエン酸効果」によりドロドロ血をサラサラにしてくれると言う考えです。

これは、中医学においての
「生津止咳」自身の身体から有益な水分を作り出し咳を止める
「斂肺渋腸」咳を鎮め消炎効果を与えると共に渋った腸を抑える
等の考え方に繋がります。

中医学的には、「3年以上」置く事で薬効が高まると言われています。

 

まとめ

こういう書き方をすると誤解される方もいるかもしれませんが、
近頃「簡単!・何々をしなくてもOK!・すぐに出来る!」などをうたい文句にしているイベントを数多く拝見します。

経験に裏打ちされた「大丈夫」は、決して「手抜き」では有りません。
それは長年の知恵と経験から培ったものだからです。

基本も知らず、手を抜く事ばかりを覚えないで下さい!

近頃、発酵食品がブームになっているせいか、
「梅干し」を発酵食と言ってる方がいてびっくりしました

梅干しは、伝統的な保存食に分類されます。
その違いも分からない方が多いのも実情です。

是非、先人が語り続けてきた事の「本当」を見極める力をつけ、
美味しく安全な調味料・保存食作りを楽しんで下さいね。


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